
テレマクロってなんだい?

業界初のレンズさ!
このテレマクロによりミクロな世界を探訪できるぞ!
Poco F2 Proに初搭載されたんだ、このスマホの最大の特徴だよ。
原理と作例を一緒に見ていこう!
Poco F2 ProはRedmi K30 Proのグローバル版

Poco F2 Proは中国ですでに発表されたRedmi K30 Proのグローバル版で、人気を博した、Poco F1の続編となっており、5月12日に発表されました。このスマホはとても魅力的な端末でSnapdragon 865、IMX 686、ポップアップアップカメラによる全画面の実現など面白い機能が満載なのですが、それらについては、Redmi K30 Proの記事にて詳細に述べましたので、そちらをご覧ください。

ここで、ほとんど同じスペックの説明を繰り返しても筆者が面白くないので、今回の記事はテレマクロレンズについて注目していきます。こちら、なんと、このスマホが世界初搭載となっています。「テレ(望遠)なのにマクロってどういうこと?どっち?」と思う方も多いでしょう。筆者はこのテレマクロに心を鷲掴みにされたので、このテレマクロの秘密を解き明かしていきます。
細かい解説が不要な方は作例が最後にのってるので、作例を見て感動してください。とにかく、物凄いってことです!
そもそもマクロレンズとは?

初めにマクロレンズについて考えていきます。
「スマホに搭載される」マクロレンズは至近距離からでもピントが合うレンズのことを指しています。(一眼では話は複雑になりますので略します)今、スマホをお持ちの方は、メインカメラで至近距離の被写体を撮ろうとしてみてください、ピントが合わずボケボケの写真が撮れます。しかし、マクロレンズを使えば、機種にもよりますが2cm程度まで被写体に近づいて撮影することができるのです。逆に、近く以外ではピントが合わずぼやぼやした写真になってしまいます。
さて、通常のマクロレンズについてはわかりました。では、Poco F2 Pro(中国版ではRedmi K30 Pro)が搭載する、テレマクロレンズとは何が違うのでしょうか。
このテレマクロの理解には”焦点距離”という言葉についての理解が必要です。次に焦点距離について見ていきます。
理解すべきなのは焦点距離と最短撮影距離の違い
焦点距離と聞くと、中高で習った、虫眼鏡が太陽光を一点に集める点だと考えてしまいますが、カメラやスマホでの用語としてはまったくもって違います。

カメラやスマホにおける焦点距離(正式には35 mm判換算焦点距離)は画角を示しています。上の図(焦点距離の換算法は後で使います)において、カメラにおける詳細な焦点距離の定義を示していますが、簡単に言うと同じ画角で35mm判という大きいイメージセンサーで写真を撮る場合の焦点距離で考えているのです。
基本的にこの焦点距離が大きくなればなるほど、画角が狭くなります。当たり前ですが、画角が狭くなるほど望遠が効きます。
この定義から自ずと分かるように、スマホやカメラにおける焦点距離は画角しか示さず、実際にピントの合う距離を示しているわけではありません。ピントの合う距離は最短撮影距離という別の尺度があります。
このように、大抵の一眼レフのレンズにはスペック表に最短撮影距離が書かれており、この距離からなら、撮影することができます。逆にこの距離より短い場合はピンぼけして撮影することができません。このレンズの場合、0.28mとなっています。
Poco F2 Proのテレマクロが世界最強のマクロである理由

Poco F2 Proのテレマクロレンズは、これより焦点距離は50mmで、AFは3cm~7cmとなっています。スマホにおけるメインカメラは25mm程度なので、光学2倍で撮影することが可能です。それを3cmという超至近距離から可能なのです。これは物凄いことですよ。
通常のマクロレンズとの比較
Galaxy A51 メイン Galaxy A51 マクロ
通常のマクロレンズはこのように、同じ撮影位置から撮ると、マクロレンズの画角はメインカメラと同じになっています。(メインでピントを合う位置で画角を確認するために撮影したため、マクロはピントがあっていません)つまり、焦点距離は25mm相当です。これを、2MPもしくは5MPのイメージセンサーで受け取ります。
もし、この25mm相当のマクロレンズでテレマクロと同じ画角である50mmを目指すと画素数がどうなるか計算してみましょう。比較対象は同じXiaomiで500万画素とマクロカメラにしては大きい画素数を持っているRedmi Note 9 Proのマクロレンズです。

このようにデジタルズームにより、同じ500万画素のマクロレンズでも、わずか125万画素になってしまいます。これはテレマクロレンズの圧勝ですね。計算は先程の換算焦点距離のところの数式を利用しています。計算式を追いたい人は見返して見てください。なお、細かい式変形は記事最後に貼ってある、Xiaomi Mi 10 Proの望遠の記事にありますので気になる方は参考にしてください。
超広角マクロレンズとの比較

スマホに精通しているかたならご存知でしょうが、実は超広角カメラでマクロ撮影を行うこともできます。超広角のほうがおそらくレンズ長が長くないので、撮影最短距離を短くしやすいことから、マクロモードが搭載する場合があるのでしょう。この超広角マクロの存在こそが、巷でマクロレンズが水増しだと言われている理由でもあります。だって、余分にいりませんもんね。しかし、200万画素マクロならともかくこの、Poco F2 Proのテレマクロならばこの超広角マクロの性能を凌駕します。

同様にして、同じ50mmになるように超広角で計算すると、こちらは約205万画素にまで下がってしまいました。これは倍以上テレマクロのほうが性能が上ですね。このように超広角マクロは元の画角が広い故に、せっかく高画素数の性能の高いイメージセンサーを搭載していても、駄目なわけです。しかし、テレマクロは逆の発想で、高度なマクロ撮影を実現しました。最短撮影距離で望遠をかけるのです。これは素晴らしい発想ですよ!さすが、Xiaomi!
光学二倍テレマクロの作例を見ていこう!

凄いのはわかったよ、で、作例を見せてくれよ。
数式で凄いと言っても実感がわかないでしょう。理論を建てたら実験するのが理学の基本です。幸い、この理論はカメラさえあれば実証が可能です。その写真はTwitter上に多数上がっています。公式HPより実機による写真のほうが説得力が大ですよね。なお、Poco F2 Proの実機を持っている人はほとんどいないため、これはRedmi K30 Proによる作例です。
これ、見てください。凄すぎませんか!いやぁ、びっくりしました。こんなにキレイにミクロな世界の写真を撮れるなんて驚きです。この写真を見て筆者は欲しくなりました。このテレマクロレンズはXiaomiの今までのマクロレンズと同様に、マクロモードでのAF、デジタルズーム、更にマクロレンズでの動画撮影も可能です。他にも、蜘蛛のマクロカメラによる作例もこのTwitterの枝にあるので、虫が苦手でない方は御覧ください。なかなか衝撃的でした。
なお、AF 3~10cmなので、このレンズは望遠レンズとしては使えませんのでご注意ください。遠くの被写体を写すとピンぼけします。テレマクロであってテレ(望遠)ではないことにご注意ください。望遠がほしい場合はおそらく発売されるであろう、Poco F2 Pro Zoomを待ったほうがいいでしょう。ただし、その場合この魅力的なテレマクロがなくなってしまうので、個人的には他のスマホにもある平凡な光学3倍望遠が搭載されている、Poco F2 Pro ZoomよりこのPoco F2 Proのほうが魅力的にうつりました。ただ、このPoco F2 ProにはメインカメラにOIS(光学式手ブレ補正)がなく、Poco F2 Pro Zoomにはあるのは大きな違いです。一応弱点も伝えておきました。
GearBestで販売開始!いきなりセールで驚異の499ドル!

Poco F2 ProはGear Bestで販売開始と同時にセールも始まり、驚異の499ドルで販売されています。日本円で約5.3万円ですね。こんなに素晴らしい、テレマクロが搭載し、おまけに、Snapdragon 865による5G対応、ポップアップインカメによる全画面有機EL(もちろん画面内指紋認証)、メインカメラには最新のSONY製の6400万画素イメージセンサーであるIMX 686もついてくるんです!それが、5万円台なので安すぎます。まさに価格破壊です。筆者も欲しくなってきました、テレマクロレンズ試してみたい。

なお、対応バンドはこのようになっており、日本の4GプラチナバンドはB8のみ対応なのでソフトバンクでの使用がおすすめです。なお、5Gもn77対応なので、SoftBankの5Gも拾います。このn77対応はRedmi K30 Proにはなかったので、5Gスマホとして運用するのであれば、Poco F2 Proのほうがおすすめです。
AliExpressでも販売開始されており、こちらも499ドルで販売されています。DHL配送無料で届くそうなので、昨今の遅い配送状況を鑑みると嬉しい選択肢です。
筆者は今回の記事のようにスマホのカメラの秘密を解明する記事をたまに書きます。このテレマクロは第3段です。(第三段はS20 ULTRAの予定でしたが、変えました)第二弾は、Mi 10 Proの望遠レンズがなぜ、ペリスコープではないのに、望遠性能が極めて高いのかを解明しています。Xiaomi好きの方はこちらも合わせて読んでください。
筆者はこの本を使って、カメラの知識を深めています。イラストいっぱいで面白いのでおすすめです。